a.i.design co.,ltd.

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apri.2014

type : hair salon

location : gaienmae_tokyo

photographer : nobuhiko ito


<アンリちゃんの美容室>

9坪の限られた空間だが、ロケーションは青山通り沿いガラス貼りのテナントビル2F。
この好立地を、いかに通りへ向けてアピールするか?
極小空間を、いかに広く見せるか?がプロジェクトの課題となった。

1.カットスペースのフロントガラス面に意匠は設けず、足下のグラデーションフィルムのみで、
 1Fからの視線をシャットアウトし、座ったお客さんは2Fからの青山の景観をシームレスに一望できる。

2.カット面の椅子は、業務用の椅子は使用せず、
 単調にならぬようデザインの違う3種のアームチェアーを配置し足下に空気の通り道を与えた。

3.天井と床を支える壁と柱に、天井色から床のモルタルへと徐々に変化するカラーとマテリアルのグラデーションを施し、
 境界を曖昧とし存在感を薄めた。

4.ドレッサーはスリムなラインで空間にコントラストを与えたが、風が抜けるようスリッドを設けたデザインとした。

5.シャンプーブースとカットスペースの間仕切りを、
 天井の隙間から3枚のシースルーな麻暖簾をグラデーション染めで垂らした。

これらの『空気(風)を通す』『境界線を定義付けしない』ことで、
空間の広がりを可能な限り引き出し、意匠的にも機能的にもミニマムなデザインとした。

ガラス貼のビルは、日中では通りへのアプローチは不向きだが、夜間は絶好な演出が可能となる。そこでファサードデザインとしてでなく、情景を切り取ったかのような、ストーリー性のあるウインドーディスプレイとした。営業中は店内のグラデーション効果で浮遊したショーケースとなり、閉店後には店内に浮かぶ満月が、青山の街をドラマティックに照らし続ける・・・・・

店名の『lien』リアンとは、フランス語で『絆』という意味。
オーナー夫婦の愛娘『アンリちゃん』の名から、名付けられた。シンボルマークのデザインは
『アンリちゃん』の落書きをもとにデザインされた。

logo design by LIGHTS DESIGN